名演説は誰もが学ぶ

I have a dream

あくまで牧師として、聖職者として人々が幸福に暮らせるようにと活動していたキング牧師。彼はただ自分を始めとした黒人たち、並びに全米で広がる人種差別の撤廃と平等性を求めていた。そこには暴力による解決を求めるのではなく、あくまで人が自ら考えて動く事を優先していたのも関係している。実際『非暴力主義』を地で貫き、自分に出来ることはただ人に問いかけて考えさせるだけの力を有していました。

暴力でねじ伏せるのではなく、歴史の歪曲によって生じた『黒人たちが今の社会において人種差別されても満足している』といった虚言を言いふらした過去の妄言者達の過ちを正す、これこそが目指す場所だったのです。キング牧師のあずかり知らぬところで乱闘や暴力による問題はあったのかもしれませんが、差別を連邦政府が肯定的に捉えていたのも事実。それを改革するためにも、キング牧師は活動を続けていったのです。

やがてその活動の集大成とも言える名演説『I have a dream』が出てきます。

アメリカに興味がある方へ

リンカーンのお膝元で

演説は奴隷解放宣言されてから100年後の1963年、リンカーン記念堂の前にて行われました。人種差別の撤廃、並びにその他の人種とも講和を図っていくべきだとする考え、そしてキング牧師が求める究極の理想がそこで語られます。その内容は現代でも多くの人々に共感をもたらし、アメリカ国内ではこの『I have a dream』は20世紀史上最高の演説であるとまで称されています。

英米文学を学んでいる、あるいは学ぼうとしている人たちにとっては必ずといっていいほど勉強するだろう。筆者も学生時代には文体の勉強もそうだが、自分たちで実際に読んで発言してみるといった、そんな授業を経験したこともある。実際にやってみたが、意味合いもそうだが文体も非常にわかりやすく構成されているので、誰もが一度は耳に入れておきたい演説だ。最高と称されるのも頷ける。

この演説を披露した翌年1964年には、キング牧師は当時最年少でノーベル平和賞を受賞した。

キング牧師あってこそのオバマ大統領

キング牧師の影響によってアメリカ社会から確実に差別はなくなりつつありましたが、それも完全ではない。また一部の白人たちからすれば、公民権法が成立すれば全て解決したと見なすなど、粗悪な体質は根付いたままだった。そのため黒人たちを取り巻く問題は改善を見ること無く、キング牧師もまた社会の不和がここまで酷いものだという思いを主張していくこととなる。

そうした闘争の果て、黒人たちにとってはまさに歴史的瞬間が訪れたことといえば、アメリカ大統領として初の黒人が就任した一件だ。『バラク・オバマ』氏、言うなればキング牧師が求めた理想の社会を黒人でもなし得ることの代表的な一例になります。アメリカで初めて白人以外の大統領が就任し、人種差別に対する抑制も収まるかと期待されていただろう。

ですが現在までを通しても、キング牧師・リンカーンなど有数の代表者達による活動も虚しいことになっている。彼らに責任があるわけではない、あるとすればそれまで差別を良しとして誰も是正してこなかったことだろう。

奥が深い外国の歴史

奴隷はなくなり、差別はなくならない

アメリカの歴史において奴隷制度こそ撤廃された。黒人たちにも平等に人権が与えられるようになり、不当な扱いは行えなくなります。ですがそれも表面上でしかなく、意識下において白人の黒人ないし黄色などの有色人種たちに対する眼の色は以前変わらず、というのが現状だ。

無論白人の中にも人種差別など不毛だと考えている人はいるでしょうが、そういう人ばかりではない。ガチガチの封建的な思想を信仰している人ほど、改めることはない。同時にそうした人々が社会の中枢に位置した職務を請け負っている、というのも関係している。映画にしても何にしても、意図した形で差別を当然のように主張する人は未だに存在している。そうした場面に立ち会う機会はこれからもあるだろう。

いつか人種差別が無くなるように、そう願ってやまないが叶う時が本当に来るのかと、そんな不安もよぎる。

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